鉄骨造の建物解体は難しい?構造と工期の違いとは

鉄骨造(S造)とは?

鉄骨造とは、「Steel(スチール)」を主要構造部に用いた建築構造のことです。
ビルや倉庫、商業施設、工場、アパートなどに多く採用されています。

柱や梁に鋼材を使っているため強度が高く、比較的軽量で耐震性にも優れています。
しかし、構造が頑丈で高所作業が多いため、解体には専門技術と計画性が必要です。


鉄骨造と他構造の違い

構造タイプ 特徴 解体の難易度 工期 費用目安(30坪)
木造(W造) 柔構造・作業しやすい 約1〜2週間 約100万〜150万円
鉄骨造(S造) 強度高・重量構造 約2〜3週間 約150万〜250万円
RC造(鉄筋コンクリート) 非常に頑丈 約3〜4週間以上 約200万〜400万円以上

鉄骨造はRC造ほどではないものの、木造より難しく、解体費用も高めです。


鉄骨造解体の主な流れ

  1. 現地調査と見積もり提出
     構造・築年数・周辺環境を確認。アスベスト調査も必要になる場合があります。

  2. 届出・申請関係の準備
     建設リサイクル法に基づく事前届出(延床80㎡以上)など。

  3. 足場や養生の設置
     近隣への騒音・粉じん対策や安全確保のための仮囲いやシート養生を行います。

  4. 屋根・外壁材の撤去(手作業)
     鉄骨を露出させるため、軽量部材から順に撤去。

  5. 鉄骨部材の解体(重機・ガス切断)
     クレーンやカッター、酸素アセチレンによる溶断などで鉄骨部を解体します。

  6. 基礎の解体・整地
     コンクリート基礎を重機で掘り起こして撤去。整地までが一連の流れです。


鉄骨造の解体で注意すべきポイント

1. 火気作業が多い(溶断)

鉄骨部分はガス切断が必要な場合があり、火気使用による火災や近隣への注意が求められます。

2. 高所作業が多く足場も大掛かり

屋根や梁など高所に鉄骨部材があるため、安全対策が不可欠。工期が延びる要因にもなります。

3. 騒音・振動が大きくなりやすい

重機や鉄材の落下音、切断音が大きく、近隣トラブルのリスクがあるため、事前の挨拶と対策が重要です。

4. アスベストの有無を要確認

古い鉄骨造建物には、外壁材や断熱材にアスベストが含まれていることもあります。調査・届出・適正処理が義務です。


解体費用の目安(30~50坪)

  • 一般的な鉄骨造(倉庫・事務所など):150万~300万円

  • 高層・3階建以上や狭小地の場合:300万円以上になるケースも

※立地・重機の搬入経路・アスベストの有無によって大きく変動します。


工期の目安

  • 2階建までの鉄骨造:約2〜3週間

  • 3階建以上や複雑な構造:3〜5週間


まとめ

鉄骨造の建物解体は、木造に比べて専門性が高く、火気作業や高所作業など安全面の配慮も必要です。
また、構造がしっかりしているため、費用・工期ともにある程度かかると考えておくべきでしょう。

依頼の際は、鉄骨造の施工実績がある解体業者に相談し、見積もり内容や法的な手続きをしっかり確認することが大切です。