建物の解体工事では、膨大な量の廃材が発生します。
これらの廃棄物は「産業廃棄物」として扱われ、適切な処分が法律で義務づけられています。
違法な処分を行うと、解体業者だけでなく施主(発注者)側も罰則の対象になる可能性があるため、処分の流れと法律を正しく理解しておくことが大切です。
解体工事で発生する主な産業廃棄物
| 廃棄物の種類 | 具体例 |
|---|---|
| コンクリートがら | 基礎・外壁・床スラブ |
| アスファルトがら | 駐車場・私道など |
| 木くず | 柱、梁、床板、建具 |
| 金属くず | 鉄骨、電線、配管など |
| 廃プラスチック類 | ビニールクロス、断熱材 |
| ガラス・陶磁器くず | 窓、タイル、便器など |
| 石綿含有廃棄物(特別管理) | アスベストを含む建材 |
処分の基本的な流れ
1. 現場での分別
解体時には、上記の産廃を種類ごとに分別することが義務づけられています。混合廃棄物は処分費が高くなるだけでなく、法令違反になる場合もあります。
2. 許可を持った収集運搬業者による搬出
「産業廃棄物収集運搬業」の許可を持つ業者が、廃棄物を指定の中間処理場または最終処分場へ運びます。
3. 中間処理・リサイクル・最終処分
種類ごとに粉砕・焼却・圧縮などの処理が行われ、リサイクル可能なものは資源として再利用されます。
関係する法的ルール
◆ 廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
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排出事業者責任:発注者にも最終的な責任がある
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委託契約書の作成義務(処分業者と書面で)
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マニフェスト制度:処理の流れを記録する書類で5年間の保存義務あり
◆ 建設リサイクル法
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床面積80㎡以上の解体工事では事前に**「分別解体等の計画書」**を提出する必要があります。
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コンクリート・木材・金属などは必ず分別解体する義務があります。
◆ 特別管理産業廃棄物(アスベスト等)
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アスベスト含有建材があった場合は、特別管理産廃として特別な処理・許可が必要です。
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通常とは異なる収集運搬車両・処分場が必要です。
違反するとどうなる?
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不法投棄:5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人は最大3億円)
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マニフェスト未作成:6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
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排出事業者(発注者)にも「委託責任」が問われる場合があります
発注者が注意すべきポイント
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廃棄物処理は「見積もりに含まれているか」確認する
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見積書に「廃材処分費」の内訳があるか確認
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マニフェストのコピーを保管してもらうよう依頼する
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安価すぎる業者は「不法投棄の可能性」もあるので要注意
まとめ
解体工事では、「ただ壊す」だけでなく、出てきた産業廃棄物をどう処理するかが重要です。
法律を守らずに処分すると、大きな罰則を受けるリスクがあります。
見積もり段階から処分方法について説明してくれる、許可を持った信頼できる解体業者に依頼することが大切です。