建物の解体工事では、大量の廃材やゴミが発生します。これらは「産業廃棄物」として扱われ、適切な分別・処分が法律で義務付けられています。
誤った処理や不法投棄は、解体業者だけでなく、発注者側(施主)も罰則対象になる可能性があります。
この記事では、解体工事で発生する産業廃棄物の種類と処分方法、関係法令や注意点をわかりやすく解説します。
解体工事で発生する主な産業廃棄物
廃棄物の種類 | 具体例 |
---|---|
コンクリートがら | 基礎・外壁・スラブなど |
アスファルトがら | 舗装材・駐車場の路面など |
木くず | 柱・梁・床材・建具など |
廃プラスチック類 | 断熱材・ビニールクロス・パイプ類 |
金属くず | 鉄骨・配管・電線など |
ガラス・陶磁器くず | 窓ガラス・便器・タイルなど |
石綿含有廃棄物 | アスベスト入り建材(特別管理産廃) |
産業廃棄物の処分方法
1. 分別・搬出
現場で「木くず・金属・コンクリート・石綿」などに分別。混合状態では運搬・処理ができません。
2. 許可業者による収集運搬
都道府県の「産業廃棄物収集運搬業許可」を受けた業者が、法令に沿って運搬します。
3. 中間処理・最終処分
処理施設で破砕・圧縮・焼却・埋立てなどの処理を行い、リサイクルや最終処分がされます。
遵守すべき主な法律・ルール
■ 廃棄物処理法
解体工事で発生した産業廃棄物の処理は、すべてこの法律に従って行う必要があります。
- 排出事業者責任:解体業者だけでなく施主(発注者)にも処理責任があります
- 委託契約書の締結:収集運搬・処分業者と書面契約が必要
- マニフェスト制度:処理の流れを記録・追跡する書類の作成と保管が義務
■ 建設リサイクル法
床面積80㎡以上の建物解体には、「分別解体」と「事前届出」が義務付けられています。
- 分別解体の実施(コンクリート・木材・金属類の分別)
- 発注者が着工7日前までに自治体へ「事前届出」
■ 特別管理産業廃棄物(アスベスト)の扱い
アスベストを含む廃棄物は「特別管理産業廃棄物」に分類され、
- 専用の運搬車・容器を使用
- 処理業者も特別管理産廃の許可が必要
- マニフェストの写しを5年間保存
処理を誤ると行政処分・罰則・損害賠償が科される恐れがあります。
施主側が注意すべきポイント
- 安価な業者に任せすぎない(不法投棄リスク)
- マニフェストの控えを受け取る
- 契約書に「産廃処理に関する記載」があるか確認
- 廃棄物処理費が「見積もりに含まれているか」チェック
まとめ:法令を守った処分が信頼につながる
解体工事は「壊すこと」だけでなく、発生する廃棄物をいかに適切に処分するかが大きな責任になります。
安さだけで業者を選ぶと、後から罰則やトラブルに発展する可能性も。
実績のある解体業者に依頼し、マニフェスト・処理契約書のチェックを忘れず行いましょう。