2006年以前に建てられた建物には、アスベスト(石綿)を含む建材が使用されている可能性があります。
解体工事を行う際は、通常の建物よりも多くの手続きや費用が必要になるため、注意が必要です。
この記事では、アスベストがある場合の解体手順、費用の目安、関連法規についてわかりやすく解説します。
アスベスト含有の建物とは?
アスベスト(石綿)は、高い耐熱性・断熱性から、以下のような建材に使われてきました:
- 吹き付け材(天井・梁など)
- スレート材(屋根材・外壁材)
- Pタイル・ケイ酸カルシウム板
- 内装仕上げ材・配管の保温材
2006年に製造・使用が全面禁止されましたが、それ以前に建てられた建物では、アスベストを含む建材が残っているケースがあります。
アスベスト解体の大まかな流れ
- 1. アスベストの事前調査
解体前に「建築物石綿含有建材調査者」による調査が義務付けられています(2022年4月以降)。 - 2. 結果の報告
調査結果は、労働基準監督署と自治体へ「事前調査結果報告書」として提出します(石綿障害予防規則)。 - 3. 除去工事の計画書提出
アスベストが見つかった場合、「除去作業届」「計画書」を提出。工事の種類に応じた対策が必要になります。 - 4. アスベスト除去工事(隔離・養生)
専用の負圧装置や養生シートで作業区域を封鎖し、粉じんの飛散を防止します。 - 5. 残材の適正処理・最終報告
除去したアスベストは、専門の産業廃棄物処理業者によって処理され、最終報告書を提出します。 - 6. 本体解体工事へ移行
アスベスト除去が完了した後に、建物全体の解体工事を開始できます。
アスベスト除去の費用の目安
アスベスト除去費用は、工法・含有量・建材の種類・施工面積などによって大きく異なります。
工法・内容 | 費用の目安 |
---|---|
吹き付けアスベストの除去(隔離工法) | 3〜5万円/㎡ |
屋根スレート材(アスベスト含有)撤去 | 1〜1.5万円/㎡ |
Pタイル除去・廃棄 | 0.8〜1.2万円/㎡ |
アスベスト事前調査・報告書作成 | 5〜10万円 |
※あくまで目安です。現場条件・数量・運搬距離によって変動します。
知っておくべき法律・義務
- 大気汚染防止法:アスベスト除去前に「特定粉じん排出等作業実施届出書」を提出
- 石綿障害予防規則:事前調査・結果報告・作業主任者の配置義務
- 建築物石綿含有建材調査者の配置義務:2022年4月以降、調査者による報告が必須
これらを遵守せずに解体を進めた場合、罰則が科されるほか、住民からのクレームや訴訟リスクにもつながります。
まとめ:アスベスト除去はプロに依頼を
アスベスト含有建材の除去には、専門知識と技術が求められます。
費用はかかりますが、法律を守り、周囲への健康被害を防ぐためにも、実績ある専門業者に依頼することが最も重要です。
解体業者を選ぶ際は、アスベスト除去の経験があるか、各種届出の対応が可能かを必ず確認しましょう。